左幸子いいなぁ
子離れできない母親と死を悟りながらも隠し通して生きた兄
お母さんお母さんと叫びながら、最後に何を思ったのだろう。
少女の峰子が不器用ながらも空気を読んで2人を繕う間にいた。
息子が全てだったお母さん。
夫を亡くした傷を埋めるかのように、
息子に依存し、賢く逞しく育つ姿が何より自慢だった。
もぬけの殻と化した最期は、空虚ながらも何とか過去に縋って生きる。
お母さんっていうのは、最後は邪魔になる存在なのかなぁ。
立派に育てても、邪険に扱われて、周りからも鬱陶しがられて、寂しいもんだ。
一生懸命の峰子が、取り繕うだけの存在ではなくなり、ひとりの個人として確立したかのように見せるラストシーンは良かったと思う。
泣きながら、自分が情けなくなって、
私って何なんだろうってきっと思ったはず。
彼女なりの思いやりはもう必要ない。
兄を失った寂しさは自分にだってあるのに、それでも道化を演じていた。
母を元気づけたかったから。
誰かの寂しさを埋めるのではなく、もう自分らしく生きたっていい、そう思えていたら嬉しい。