爆裂BOX

肉の蝋人形の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

肉の蝋人形(1997年製作の映画)
3.4
子供の頃、黄金の義手を持つ男に両親を惨殺されたソニア。凄惨な殺人現場ばかりを再現した蝋人形館で働くことになった彼女だが、やがて館と艦長のボリスに隠されたおそろしい秘密を知ることになる…というストーリー。
長らく犬猿の仲にあったイタリアン・ホラーの大御所ダリオ・アルジェントとルチオ・フルチが和解し、アルジェントがストーリーを考案し、フルチが監督・脚本を務める予定で製作が進んでいたのが、フルチが糖尿病で死去したため特殊効果担当のセルジオ・スティヴァレッティが監督を務めて完成されたサスペンスホラーです。同名映画のリメイクではなく、ガストン・ルルーの短編小説を原作にしているようですね。
衣装係として蝋人形館で働き始めるソニアですが、この蝋人形館で若者がショック死した事件を調べる新聞記者アンドレアに協力するうちに自身の両親を殺した義手の男が艦長のボリスではないかと疑い始めます。
全体通してゴシックな雰囲気はありますが、テンポがゆったりしてて、主人公のソニアも積極的に行動するタイプじゃなく受け身なので話がなかなか進みませんし、恋人になるアレックスとのイチャイチャも退屈ですね。アレックスが全然イケメンに見えないし。
黒ずくめの格好で黒手袋の男が犠牲者を襲うシーンはジャーロっぽいですね。ただ、薬液注射するくらいでグロい殺害シーンはないです。刑事殺される所もナイフで一突きだし。娼婦だけでなく子供も容赦なく襲っていきます。人間を蝋人形に変える所では、フランケンシュタインの実験室思わせるオーバーテクノロジーな作業場で、マッドサイエンティスト物の雰囲気も漂います。ここではCG使われてますね。
ソニアの両親が殺されるシーンは手首引きちぎったり、心臓掴みだしたりといったグロ描写あります。良い感じではありますが、当初の予定通りフルチが撮っていたらどんな物になっていたのかとも思いますね。
サスペンスとしてはストーリー破綻してますね。最初から怪しい奴がそのまま犯人だし。ボリスの変態キ〇ガイっぷりともっと強調してほしかったな。父親に虐待され、保護してくれたボリスを慕うもソニアにその寵愛が移っていく事に嫉妬を拗らせるヤンデレな助手アレックスのキャラは良かったかな。
娼婦のお姉さん方だけでなくヒロインもオッパイ披露するエロ方面でのサービスぶりも入ってます。
クライマックスで裸で縛り付けられたソニアが注射されそうになる所はちょっとハラハラしました。そこからの蒸気を浴びてドロドロ溶けるボリスの顔や、蝋人形物ではお約束の火事によってドロドロ崩れていく蝋人形達も見応えはありましたね。
そして本作一番の見所と言っていいかもしれないラストに唐突に現れるターミネーター(笑)一応、黄金の義手や犯人の赤い視点で伏線(の様なもの)貼ってありましたが。アッサリ倒されますが、それまでの怪奇ミステリー色かなぐり捨てる様なSF展開はインパクトはあります。ラストはホラーらしい不穏さですが、再登場した時に顔の殴られた跡がなくなってたのが伏線ではあるのか。
映画としては破綻しててポンコツではありますが、ゴシックな怪奇色やぶっ飛びSFオチなど妙に嫌いになれない味のある作品ですね。