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アッシャー家の惨劇のtackyのレビュー・感想・評価

アッシャー家の惨劇(1960年製作の映画)
1.8
大好きなロジャー・コーマン作品で、この後、数多く作られる、大好きなボー原作の作品の第1作目なのだが、これはいただけない。
ただただ、睡魔との戦いだった。

原作では、神秘的な「アッシャー家」の謎は最後まで明かされないが、とても怖い。
それは文章の良い所で、ジリジリと主人公を追い詰めるアッシャー家の怪異と、クライマックスの崩壊の凄さが、何もわからずに茫然自失となる主人公を通じて、その文章力によって、恐ろしさをみせるのだ。

しかし映像にすると、たいして何もおきず、ただただオーバーな演技と台詞の応酬だけでは、作品として間が持たないだろう。
それでなくても、登場人物はたったの4人で、うち一人は執事で、最初と最後しか出番がなく、一人は途中でフェイドアウトなので、自ずとヴィンセント・プライス頼りなのは仕方ない。
それも、途中からマイケル・ジャクソンの「スリラー」のナレーションの繰り返しを、何遍も聞かされているみたいで、耳障りで飽きてしまった。

ラストの崩壊シーンは、当時のSFXとしては、かなり頑張っているが、コーマンなので、コレも何かの映像の使い回しなのかもしれない。
何しろ、ボーの著作権が切れたので、権利がタダなので作ったらしいし、素晴らしい邸宅のセットも、他の映画会社からタダで拝借した古いセットの廃材で建てたものである事を、美術監督のダニエル・ホラーが明かしている。

その辺のセコさがコーマンらしくて、微笑ましいのだが、
製作費のほとんどが、ヴィンセント・プライスのギャラだという事や、保存状態も最悪だし、今回は良いところが無かった。
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