風来のリヨナ

ハリヨの夏の風来のリヨナのレビュー・感想・評価

ハリヨの夏(2006年製作の映画)
4.3
なんと囁いて良いのかもう分からない

だらしないママと幼い妹との3人暮らしの高校生ミズホちゃん。最近ママが明らかな新パパ候補っぽい米国人と仲良しで多感な時期には厳しい…。大好きな実父にしたって、他に女を作って家には寄り付かず、たまに2人で会うくらいしか出来ない…という状態。この大人ども…。

そんな駄目大人たちに揺れるミズホに実父がくれたのは、珍しい川魚”ハリヨ”。その儚い魚の世話をしながら、大人にならざるを得ない少女の夏が始まる…みたいな。



『臍帯』にて物凄い演技だった主演の子が気になって、デビュー作をレンタルしてみたラブストーリー!ジャケの男の子との淡いエモ青春系かな〜…ラブストーリー苦手だけどたまには良いか!…いや…これ……重ッ…!!ジャケットから全員が想像しうるエモラブ展開には全くなりません。

こいつの正体はラブストーリーなどではなく、周りの駄目人たちに大事な青春時代を振り回される少女を通じて、オスが子育てをする魚 ”ハリヨ” の生態を表現したような激重地獄人間ドラマになってます。いったい誰が稚魚で、誰がオスだったのか。

中盤辺りで、(ラブじゃないなら大人たちとの和解系か〜…おいおいおいおい🤮)の鬱病ルートしか見えない展開に猛然とハンドル切った瞬間。ここからの先の見えなさと緊迫感の持続が…苦しい…苦しい…こんなに無理な「怒らないから言いなさい」この世にあるのか…?

主演の子はやはり凄い演技力…後半からはあの狂気感もしっかり伺えて良かったです。『臍帯』観てるとヒュッてなるシーンがあるのも楽しい。にしてもこの子はデビューから暗黒なの…似合い過ぎる幸薄顔で好物ですけど…
そんなまたしてもなかなかの鬱病映画でしたとさ…

個人的に気に入ったのは、誕生日の歌が一人ネイティブなとこ、屋上での怒のとこ、後半の母を見つめる表情です。
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