三隅炎雄

いかさま博奕の三隅炎雄のレビュー・感想・評価

いかさま博奕(1968年製作の映画)
4.9
ライバル関係にある賭博師鶴田浩二・若山富三郎の、イカサマ技を混じえた盆茣蓙上の非情な対決に、中村玉緒・時美沙を中心とした世話物の世界を絡ませて描く。小沢演出はいつものダイナミックな語り口とは別の、じっくり腰を据えた格調あるもので、東映任侠映画の粋とも言えるやくざ映画の名品となった。
小沢作品は男女のくだりが素っ気なく段取り臭く感じることがあるのだけれど、この映画は脚本がそこらを世話物的にきめ細く書き込んであって物足りなさを全く感じさせない。同時期大映の江波杏子『女賭博師』シリーズから影響を受けた鶴田若山の盆茣蓙対決パートも、精緻かつ熱のこもった描写だし、『総長賭博』『極道』後の若山も扱いがぐんと格上がりして演技的にも大変見ごたえがある。
三隅炎雄

三隅炎雄