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審判のtntnのレビュー・感想・評価

審判(1963年製作の映画)
4.2
60年以上前の映画の画面にここまで驚けるんだと感激した。同時にひどく怯えた。
病的な長回しも、無情なほど整理された巨大なオフィスも、こちら側を睨みつけてくる子供達も、ゲラゲラ笑い続ける群衆も、全ては寝室の扉が開いた瞬間から作動し始める。(冒頭の挿話もそうだけど、ここまで「扉が閉まる」瞬間に絶望がある映画も珍しい。)
これらの機能は、主人公ヨーゼフKを陥れるという目的すら持たない。歯車が回るように、自らの機能を何があっても止めない。
彼には、間違える隙も与えられてない。
無罪を証明するために(そもそも罪状明かされない)、出廷するために、弁護士を雇うために、肖像画を手に入れるために、、と次々と手段が目的化し、当初の目標も忘れ去られ、事態は一向に改善しない。
『上海〜』『黒い罠』で見られた深い画面によるスリルは、いよいよ常軌を逸した領域に入ってると思う。『審判』は読んだことないけど、ここまで悪夢的な物語は最早『変身』とも遜色ない。オーソン・ウェルズ、ヤベエ。
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