茜

ZOOの茜のレビュー・感想・評価

ZOO(1985年製作の映画)
4.3
圧倒的な映画を観ると何と書いて良いか分からなくなるなー。

以前サブスクで観た作品がどれも好みで随分前にこちらのBlu-rayも手に入れてたんだけど、PS4売った後にプレイヤーが壊れて買い替え渋ってたせいでずっと眠っていたやつ。
元々昔の映画の古い質感が好きなのでメディアは全然Blu-rayじゃなくて良いしDVDで十分ってタイプなんですけど、これは高画質で観れて良かった。
綺麗な映像だからこそ色彩への拘りみたいなものが明確に感じられた気がする。

双子の動物学者が交通事故により妻を同時に亡くした事から始まるお話。
生き物が腐敗していく過程が何度も何度も映るけど不思議と全く気持ち悪くない。
それどころか腐敗をこんなにも美しく撮れる人がいるんだなーと素直に感心してしまう。
映画の中なら人間は幾ら無残に死んでも構わないけど動物が惨たらしい姿になるのは辛くなる私、何故かこの映画にそんな気持ちは抱かない。
それは監督の持つ芸術性や美的感覚も大いにあろうが、それよりも死に対する向き合い方によるところが大きいのではと思う。
多分すっごくすっごく死というものを人一倍も二倍も複雑に真剣に考えて受け止めている人なのだろうと思う。
じゃないとこんな映像は撮れないし、このような映画は作れない。

気が遠くなるほどに細かく繊細に作り込まれたこの映画から何を得るかは自分にはまだ難しいし、たった一度観ただけじゃとても拾いきれない。
素晴らしい映画だとは思うけどめちゃくちゃスタミナ使って疲れたので再鑑賞はまた当分先になりそう。
じっくりじっくり燻そうと思う。
茜