ポンコツ娘萌え萌え同盟

ZOOのポンコツ娘萌え萌え同盟のレビュー・感想・評価

ZOO(1985年製作の映画)
4.0
一つに絞らないと感想迷子になりそう…。
自己で妻を失った双子の兄弟動物行動学者の男。死体の腐敗する姿の執着、映像に度々映る動物の死骸の腐る映像。
事故の生き残りで片足を失ったアルバへの双子の執着。
執着、セックス、知性狂気の最中に一貫して死と生が纏わりつく本作を観て感じたのは、シンメトリー的な構図だった。

数時間前に見た『英国式庭園殺人事件』でもグリーナウェイの構図上手いなと思ったけど、『ZOO』も例に漏れず構図が上手い。特に双子をテーマにしてるのもあってシンメトリーの構図は相当意識している。
だがこのシンメトリーは限ぎりなく完全に近いが、完全な対称性とは言い難い。それに気がついたのがアルバの両脇に配置された双子との会話だ。
アルバは片脚だから非対称的ではあるし、双子といえど個々として存在するからには動きや、ポージングの違いによって完全な対称性にはなり得ない。

後の場面でも衣装が近くても、はたまた全裸で足を怪我しても、動きや、もしくは背景の絵画のオブジェクトで何処か不完全さをを感じるシンメトリー的な画を感じる。
ただ双子の立ち位置が最後の方で一場面だけ完全な対称性だ、と思えた場面があってようやく腑に落ちたような感覚を自分の中で覚えた。

この双子の動物行動学者が欲しがった"人間の死体の腐敗する姿"。ただ本作において九相図が結局成し得ない様を見て、皮肉の効いた感覚が残る作品だった。