よしまる

お熱い夜をあなたにのよしまるのレビュー・感想・評価

お熱い夜をあなたに(1972年製作の映画)
3.4
 ビリーワイルダー+IALダイアモンド+ジャックレモンという最強トリオによるコメディのうちまだ観ていなかったものを。

 ワイルダー監督「麗しのサブリナ」と同じサミュエルテイラーが原作。しかしこちらは可憐なオードリーヘプバーンと違い、ちょっとぽっちゃりむしろがっつりとしたジュリエットミルズ。
 いや、もともと太めな方ではなく役柄のために10キロ以上増量してそのうえヌードも披露とは、まさにプロ、恐れ入る。

 大企業の社長であるジャックレモンは、休暇先で亡くなった創業者の父の遺体を引き取りにイタリアへ。
 そこで出会うのは同じく母親を亡くしたジュリエット。ふたりの父と母は、バカンスのたびに逢瀬を重ねる間柄だった。

 外国から遺体を持ち出すためには数々の難関が待ち受けており、そうこうしているうちに子供同士も仲睦まじくなっていくという何の捻りもないストーリーだけれど、やはりこれが面白い。

 IALダイアモンドのコメディは、あちこちへ脱線して話が進まないというだけで筋書きは単純明快なので安心感が半端なく、渋い会話の応酬だけで美味しい。

 ただ、自分が大人になってしまったせいで、感心するような渋い言い回しが若い時ほど響かなくなっており、結構冗長に感じてしまった。もう20分ほど縮めたほうがスッキリして面白かったかも。

 同じトリオの「お熱いのがお好き」は名訳だったと思うけれど、10年以上経って二番煎じ感が甚だしいこのタイトルも、まったくいただけない。