映画おじいさん

愛情の都の映画おじいさんのレビュー・感想・評価

愛情の都(1958年製作の映画)
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とにかく出てくるバー&キャバレーの内装が物語に水を差すくらいに素敵! 本作は美術・村木忍の映画だ!と言いたくなるほど。神田歓楽街のセットも見事。

まずはメインの舞台になる草笛光子が雇われママの神田のバー。天井が高く、くすんだ感じはパリのカフェのよう。屋根裏部屋みたいな二階も日本とは思えない。ど忘れしたけど名前も洒落てた。ホステスが横に付くバーとは思えない上品さなのにカジュアルな感じ。うーん、こんなところ本当にあったとは思えない。

丸山明宏がタブーを歌うキャバレーもメチャ天井が高くて壁にはアゲハ蝶々があしらわれて高級感がありながらも怪しげ。

はすっぱになった司葉子が咥えタバコで働く新宿・長野屋食堂そばのバーもゴーゴーが爆音で流れ、今でいうクラブ営業もやっていそうなスポットでかっこいい。赤いペイントが至る所なのが印象的。

で、肝心な物語は田舎から義姉・草笛光子を頼って出てきた司葉子が遊び人のボンボン・宝田明と恋仲になって、狼少年と言われながらも宝田明が真剣交際へ…というような速攻で忘れそうな他愛もないもの。実際数ヶ月前に阿佐ヶ谷ラピュタで観ていたことを忘れてた。。

数少ない面白かったところ。
妊娠して宝田明にポイ捨てされてしまったダンサー・淡路恵子が司葉子に向かって「あんたもすぐに私みたいになるのよ」と吐き捨てた後すぐに司葉子が上記の新宿のバーに移籍して、そこで司葉子がまるで淡路恵子のモノマネのような格好&仕草で登場してきたのには思わず吹き出してしまった。
淡路恵子の予想が当たるにも程があるだろうと。