森もり子

破れ太鼓の森もり子のレビュー・感想・評価

破れ太鼓(1949年製作の映画)
4.5
一代で成り上がった横暴な頑固親父に、これまで言いなりだった妻や子供たち(最年長が30歳)が反旗を翻す喜劇。
ーー
面白い。親と子の関係という普遍的なテーマをコミカルに描いている。しかもちゃんと答えを提示してくれていて、それがそんなに変じゃないというか、むしろ現代的というか。

さすがに古いので笑いのニュアンスが分かりにくいところはあるんだけど笑えるシーンはたくさん。子供たちのキャラクターが個性的で面白い。三男の常にセーターを着てる医学生が飄々としていて一番好き。四男も素朴で可愛い。

切ないのは、親父は裸一貫から苦労を重ねて成り上がってきたためにとても偏屈な人間になってしまっているが、子供たちはその親父のお金で不自由なく教育を受け演劇や音楽を楽しんできたために皆とても知的で穏やかで優しく思慮深い人間になっていること。やっぱり人間は苦労しない方がいいんだよ……。

切なさはあるんだけど、しっかり気持ちのいいところに着地してくれるので、楽しい気持ちで最後まで観られます。
森もり子

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