デニロ

メーヌ・オセアンのデニロのレビュー・感想・評価

メーヌ・オセアン(1985年製作の映画)
3.5
1985年製作。台詞脚本ジャック・ロジエ 、リディア・フェルド。監督ジャック・ロジエ 。

ブラジリアンサンバダンサーがフランスの特急電車に乗り込むと、車掌の検札に引っ掛かり、お前のチケットにはパンチが入っていない云々で、ポルトガル語とフランス語と英語が入り混じって、迷子の子猫ちゃんと犬のおまわりさん状態になってしまう。そこに四角四面の車掌2号が登場して、罰金だ罰金だ、パンチって何?で混乱の坩堝となる。そこに通りががった女性が見かねてサンバダンサーにポルトガル語でどーしたのと話しかけて車掌に通訳しようか、と助け舟を出すのだが、これは俺たちの仕事だから心配はいらぬ、早く自席に戻れなどとぞんざいな物言いをするものだから、怒り狂ったその女性、あんたたちポルトガル語出来んの?英語だってロクに通じてないじゃん!通訳してあげるってば!とまともなことを言っているのだが、車掌は頑として受け入れない。うむ、わたしに対する挑戦だな、わたしは弁護士なんだ、口じゃあんたたちには負けない、車掌が、あんたが弁護士なら俺は国土交通相だなどと混ぜっ返すと、弁護士は逆上して法服を取り出してどうだとばかりに威儀を正す。あ、コレめんどくさい人だと直感した四角四面は犬のおまわりさんに後は任せるとその場を立ち去る。

物語りはそこまで。

めんどくさい弁護士が弁護を依頼された漁師の裁判で見事に負けてしまうと、その漁師は仕返しをする~、と息巻いてくのだが、弁護士は世の中はままならぬと特急電車での出来事を面白おかしく言って聞かせると、というような話に続けて、そのあとは狂乱の世界です。漁師が猛り狂って車掌ふたりを締め上げたり、突然、画面の中にサンバダンサーを連れ戻しに来たメキシコ人興行主が現れてさらなる混乱に誘い、ピアノにギターに音楽教師、ストーンズだって楽譜が読めないんだ、ここからサンバのリズムです。もはや何が何だか分からない乱舞の一夜が繰り広げられていきます。


どんな風に終わらせるのでしょう。そんな心配をしていると、最後に四角四面の車掌さんの自縄自縛のサスペンスを織り込んで、不意に終わります。

ユーロスペース 特集上映「みんなのジャック・ロジエ」 にて
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