コーカサス

追憶のコーカサスのレビュー・感想・評価

追憶(1973年製作の映画)
3.6
ロバート・レッドフォードとバーブラ・ストライサンドが共演し、当時アカデミー歌曲賞、作曲賞を受賞したストライサンドの唄う主題歌「追憶」も大ヒットしたまさしく70年代を代表する名画。

キャンパスで左翼・共産主義思想を唱えるケイティ (ストライサンド) と政治運動に全く関心のないノンポリのハベル (レッドフォード) が出会い、結婚、離婚するまでの20年を、第二次世界大戦前後の時代背景を交えながら描いている。

彼女を見ていると、まさに “飲み屋で野球と政治の話はするな” そのもので、こと恋愛においての価値観の違いは何も政治だけとは限らず、いかに互いの趣味や嗜好などの違いをプラスに変えるか…それが長続きの秘訣であり、そもそも生まれた場所も育った環境も違う他人同士なのだから、“好きの数より許せる数を数える”ことが大切なはず。

たとえ無関心でも心優しい“静”のハベルと正直で一生懸命な“動”のケイティ。
残念なのは、ケイティがどのようにして育ち、如何にしてその理想と思想に辿り着いたのかをもう少し丁寧に描いていたら作品の印象も変わったかもしれない。

主義も主張も性格も違う男と女が愛し合い、やがてそれぞれの道を歩んでいく。
しかし、The Way We Were.〈あの頃の私たち〉が選んだ道は、紛れもなく“後悔のない愛”だったに違いないだろう。

89 2021