まーしー

7月4日に生まれてのまーしーのレビュー・感想・評価

7月4日に生まれて(1989年製作の映画)
3.5
アメリカの独立記念日(7月4日)を誕生日に持つベトナム帰還兵を描いた反戦ドラマ。

さすがオリバー・ストーン監督。苦しく、重い内容だった。
ベトナム戦地での混乱や失敗、そして負傷。
その後、帰国した主人公ロン(トム・クルーズ)に待っていたのは、戦士への冷ややかな眼差しと戦争への批判的な声。
命を賭した戦いが評価されない虚しさが漂う。
戦地で負った傷と併せて、ロンを襲う二重の苦しみが描かれていた。

愛国心を掲げる好戦派と、若者の未来を奪うと主張する反戦派——当時のアメリカ社会の分断が伺える。
その分断社会で翻弄されるベトナム帰還兵たち。
主演のトム・クルーズには、いつものような英雄然とした姿はない。
セットされていない髪、伸びたままの無精ひげ……ダサい格好と言った方が相応しい。
その分、戦争がもたらす負の側面が強調されていたように思う。

時間も精神力も必要な作品であることは確か。
ただ、名作・良作と評価されても不思議ではない。
反戦メッセージが込められた本作は、世の分断が再び進む今こそ、観るべき作品なのかも知れない。