GT

7月4日に生まれてのGTのネタバレレビュー・内容・結末

7月4日に生まれて(1989年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

 ベトナム戦争で下半身付随になってしまった青年の苦悩を描く作品。戦争映画ではあるが直接的な戦争シーンはあまり多くない。
 愛国心が高く兵隊に憧れるロンは、高校を卒業後ベトナム戦争に参加するために海兵隊に入隊。しかし待っていたのは、過酷な現実だった…。部下を誤って撃ち殺し、自身も撃たれた傷が原因で半身不随になってしまう。糞に塗れたシャワールームなど、軍病院の描写がなかなかに壮絶だ。
 車椅子姿で帰還した彼を待っていたのは、反戦運動と帰還兵に対する冷たい視線だ。戦争のトラウマ、下半身付随になり不能になってしまったという失意から、彼は荒れに荒れ、遂に家を飛び出してしまう。
 隣国メキシコにて車椅子コミニティに参加し自暴自棄な生活を送るロン。だが遂に、彼は己の戦争経験と向き合う決意を固める。自身が誤って射殺した部下、ウィルソンの家族のもとを訪れ、罪を告白する。この映画で最もエモーショナルな瞬間だろう。
 その後彼はベトナム戦争反対運動に身を投じ、四年後には活動家として著名になってエンド。些か直球すぎるというか、帰還した直後は自身を否定する反戦運動を憎んでいただけに、安易に反戦活動をする展開にして欲しくなかったというのが本音。著名になって成功している、というのも、少しご都合主義っぽくていただけない。だがまあ、面白い作品ではあった。
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