佐藤克巳

番場の忠太郎 瞼の母の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

番場の忠太郎 瞼の母(1931年製作の映画)
4.0
サイレント松田春翠活弁、カラー調整版で再見した稲垣浩監督の出世作で、彼の戦前名作中数少ない現存する貴重な作品。番場忠太郎片岡千恵蔵が母を探して20数年、噂を頼りに江戸に、夜鷹の老婆澤村春子から江州番場の出で5歳の子と生き別れた女は柳橋の料理茶屋女将おはま常盤操子だと判り、そこへ出向き対面を果たす。そこでのおはまの冷徹な拒絶に合い悲嘆に暮れる忠太郎は店を飛び出すと、実の妹お登世山田五十鈴が母を咎め籠で追走する。忠太郎はつけ狙う二人の悪党を斬り、物陰に潜むと、何時もの様に瞼の母が浮かんで来ない。その時、母妹が呼ぶ声が、忠太郎は「おっ母さん」と絶叫する。こんなの日本人なら誰もが泣ける。が、原作の結末は、母妹を振り切って旅立つ筈じゃあ?
佐藤克巳

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