爆裂BOX

フランケンシュタインの逆襲の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

4.1
ストーリーは死刑執行を控えたフランケンシュタイン男爵が牧師に自分が犯したといわれる罪は自分が造りだした人造人間の仕業だ、と告白していくというものです。
ハマー・フィルム版「フランケンシュタイン」シリーズの第一弾です
前半はフランケンシュタイン男爵が家庭教師のポールと共に人造人間製造に励む姿が描かれます。絞首刑になった死体を盗んだり手や眼球などのパーツを集めていきます。男爵が鞄から取り出す切断された手首が妙に生々しいです。
本作の人造人間は本当に見るからに死体という造形です。ユニバーサルの許可が下りなかった為にあのメイクが使えなかったとも監督のテレンス・フィッシャーがオリジナリティを追求したとも言われていますが、中々グロテスクなメイクです。後半、顔に銃撃を受けてからは更に凄惨な形相になります。脳手術受けて頭に手術紺のハゲ痕が残る姿も痛々しさ感じさせます。ちなみに演じているのはまだ無名時代のクリストファー・リーです。
ガラスの割れる音を聞きつけた男爵が研究室のドアを開けると目の前に人造人間が立っている初登場シーンはギョッとさせられました。その後の顔の包帯を脱ぎ棄てて素顔があらわになるショットも効果的です。いきなり男爵の首を締めあげる凶暴性もいいですね。
森の中をフラフラ歩く姿はメイクと相まって殆どゾンビです。そういえば、後半脳手術を受けて男爵の「立て」「来い」「座れ」等の簡単な命令を鎖を引きずりながら実行する姿は「死霊のえじき」のバブを彷彿させます。案外ロメロは本作を参考にしたのかも?ただ、この怪物、殆ど暴れません。ほぼ、彷徨ってるだけですね。森の中で怪物と遭遇した盲目の老人とその孫の少年は殺されちゃったのかな?特にその後描かれなかったけど。
その代わりに主人公であるフランケンシュタイン男爵の悪人振りが圧巻ですね。墓荒しは序の口で、頭脳を手に入れる為に身寄りのない老教授を自宅に招待し、事故に見せかけて殺したり、美人の従妹のエリザベスという婚約者がいながらメイドと浮気して、邪魔になったら怪物に殺させたりと中々の悪人です。全く聞く耳を持たず、周りの人間を巻き込みながら只管目的達成目指して突き進む姿は立派なサイコパスですね。ピーター・カッシングが迫真の名演技を見せてくれます。
男爵の家庭教師で最初の実験を手伝いながらもその邪悪な内容に協力を拒否し、何とか実験を止めようとするポールは男爵と対を成す善の存在としてうまく対比させてたと思います。男爵を健気に慕ういとこで婚約者のエリザベスの「母に言われたからではなく昔から愛し合っていた」というセリフも男爵にもかつては良心が存在したのかな、と感じさせてくれます。最後も一応助けようとしてましたしね。
メイドが襲われるシーンは怪物の姿を見て恐怖のあまり声が出なくなる所等リアルです。
ラストは男爵の妄想オチのサイコホラーとも取れて面白いですね。ポールが認めなかったのは友人ではあっても死ぬべき存在だと思ったからなのか。ギロチンの刃がゆっくりと上に上がるラストカットも強烈です。
流石は名門が作っただけあって面白かったです。この後のシリーズもみたいですね。