イチロヲ

暴行儀式のイチロヲのレビュー・感想・評価

暴行儀式(1980年製作の映画)
3.5
裏切り者に制裁を与えている不良グループが、元特攻隊長(紗貴めぐみ)との再会を契機にして、破綻への道を突き進んでいく。思春期の無軌道な性行動を描いている、日活ロマンポルノ。近田春夫&ハルヲフォンの楽曲がフィーチャーされている。

1978年の道路交通法改正にともなう、若者の倫理観の変化をテーマにしている物語。まだまだツッパリたい世代と、改正以後にツッパリを卒業した世代の、世代間ギャップを軸にしながら、「時計じかけのオレンジ」さながらの暴走劇を描写していく。

敵対グループのあいだを行き来する紗貴めぐみが、メンター(指導者)の立ち位置。大人の階段を先行して上がっている女子の後ろ姿を、必死に追いかけているような錯覚に見舞われる。また、暴走族の元リーダー役で石田純一が登場する。

何よりも、元チンピラならではの軋轢と葛藤を真正面から描いているところが素晴らしい。元悪党が「あの頃はやんちゃしてたなぁ」と回顧するよりも、こういうズブズブの話のほうが腑に落ちる。
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