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サバイビング・ピカソののんchanのレビュー・感想・評価

サバイビング・ピカソ(1996年製作の映画)
3.9
芸術家の人生を垣間見るのは面白い。
天才画家ピカソの独特な絵画は見たことがあってもどんな人物かそこまで詳しくは知らなかった。
大好きなアンソニー・ホプキンスがピカソ役ということで興味深く、凄く特徴を捉えているようで本人に見えてしまうほどだった。

ちなみにピカソは女性遍歴が激しく、生涯に結婚は2度だが、名前が知られた愛人は10人いたらしい。

この作品ではパブロの最も愛した3番目の愛人フランソワーズ・ジローに焦点を当て、フランソワーズがピカソと共に過ごした10年を中心に語って進行する。


1943年、大戦下のパリ。22歳の画学生フランソワーズ(ナターシャ・マケルホーン)は61歳のパブロ・ピカソと運命の出会いを果たす。フランソワーズは父親の反対を押し切り家を出て、年齢差を超えてパブロの虜になり愛し合うようになる。
しかし、パブロには長く別居中の妻オルガと、他に2人の愛人がいた。母性的なマリー=テレーズ・ワルテルと、写真家で美しく華やかなドラ・マール(ジュリアン・ムーア)。曜日を決めて娘のいるマリー宅へ行ったりしたパブロをフランソワーズは認めざる得なかった。
段々とパブロの傲慢さを知っていくが、芸術家として啓発もされ、口が上手く女を喜ばせる術を知り尽くしているパブロとの間に息子と娘を授かった。
パブロは一人の女では飽き足りなくなり、女を変えては作品の雰囲気も変わる。自分の芸術の一端として女を愛していたのかも知れない。そこに新たな愛人ジャクリーヌ(ダイアン・ヴェノーラ)を作り、その元へ通い詰める。
フランソワーズは関係が急速に冷めていく中、他の女たちとは異なり、自立して生きる道を選択するのだった。


監督は『眺めのいい部屋』『モーリス』『ハワーズ・エンド』『日の名残り』のジェームズ・アイヴォリー。
ホプキンスとのタッグも多い馴染みの深い監督。
気性の激しいピカソをプライベートでは穏やかなホプキンスが、偉ぶったり、泣いたり、縋ったりの感情豊富な演技を尽くしていて観れて大満足だった。

ナターシャ・マケルホーンはこれが映画デビューとは思えない、ホプキンス相手に堂々して美しく魅力的に演じていてとても良かった。
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