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スタートレック ジェネレーションズのmidoredのレビュー・感想・評価

4.5
劇場版スタートレック7作目にして「新スタートレック」シリーズのクルーへと代替わりした作品です。エンタープライズ号が謎のエネルギーリボンから救助した人々はもとに戻せと泣き叫ぶ。あのエネルギーリボンは一体何なのか?で始まるタイムトラベル含みのSFストーリー。

とにかく画面が豪華です。カークとピカード新旧艦長の夢の共演もあるし、ヴィランが『時計仕掛けのオレンジ』のマルコム・マクダウェルです。レギュラーキャストなので当たり前ですがウーピー・ゴールドバーグもおります。ヴォイジャー・シリーズのヴァルカン人保安主任トゥボックまでいるのかと思ったらこれは俳優さんが同じだけでした。それでも嬉しい出演です。

今作ではアンドロイド士官のデータ少佐が大盛りで不気味さを発揮していて笑いました。頭皮をパカりと開けてチップを詰めこんだり、感情チップのせいで仕事中延々と笑っていたり。真顔のジョーディとの落差が怖い。幼い子供がみたら悪夢必至のほぼホラー映画なところが好きです。毛髪や肌色などの違和感も、久しぶりに見たら不気味の谷を上手い具合に表現できている気もします。

お話の方もなかなか深い。虚構と現実と時間にまつわる物語になっていました。ホロデッキが作る仮想現実とネクサス世界はどちらも同じく虚構であり、どんなに素晴らしくても現実の尊さには遠く及ばないというメッセージには、日々虚構世界に心慰められている自分に刺さるものがあります。

楽しんでもいいけれど、ちゃんと戻って来なきゃいけないよと。

パイロット版「The Cage(檻)」のテーマもこれなので、割とスタートレック宇宙の根幹に関わる重要テーマと個人的には思っております。The Cageには観ることに囚われて何もできなくなった頭でっかちの中性的宇宙人が出てくるのです。虚構には価値があると同時に麻薬じみた危険性もあり、夢の楽園は自分をとじこめる檻にもなり得ると。

サタデーナイトライブでカーク艦長役のシャトナー氏がトレッキーに「Get a life! (自分のリアルを生きろ)」と言うギャグが有名ですが、あれなんかもマニアックなギャグだと思います。

新スタートレックはやはり面白いですね。シリーズ中では1番好きかもしれません。
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