RyanMihawk

旅情のRyanMihawkのレビュー・感想・評価

旅情(1959年製作の映画)
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コテコテの異国ラブロマンス!
生け花の家元として真っ盛りの杉田真弓は、若かりし頃に仕事を優先したがために別れてしまった記者の彼氏を追いかけて(究極的には仕事のついでだが)ハワイにやって来る
このハワイ在住日本人たちの能天気さよ!片言の日本語に片言の英語!Oh!ありが↗と!
着物の山本富士子は常に美しく、海辺の青と砂浜、緑の木々に極彩色の花々の中を歩く姿はまるでCGのよう…というかアニメっぽい BGの上に乗っかるセルのキャラクターのような浮かび具合に思う
内容はどこまでもベタなラブロマンスでオチは悲恋
美しい女ざかりの生け花の家元はハワイまで来て昔振った男と元サヤに納まったにも関わらず、彼にはハワイでのフィアンセがおり、そのフィアンセはハワイを案内してくれた可憐なお嬢さんで…主人公二人は死ぬほど愛し合っているにも関わらず、最後は女の方が男から逃げるかのようにホテルを引き払い空港まで追ってきた彼と涙ながらにここでサヨナラしましょう、一生あなたを愛すわ…とか何とか言ってひとり飛行機に乗る…のであった
こういう悲恋物の大恋愛ってナルシズムでしかないと思うんだよな 本作に関しては女のナルシズム しかし昔の男を思い、ハワイに来て観光しては彼がいないかしら…とキョロキョロしたり、ホテルのフロントに電話来てませんか?と確認したり、終いには彼の住まいにまで昼間押しかけていって無人の部屋を眺めたりベットに頬ずりする感じは………なんか良いな!新海誠映画の女性版ドリームみたいなおセンチがあると思った 「待っています」みたいなメモを残して無人の彼の部屋を去り、その晩に彼がホテルの部屋に訪ねてきて当然そういうことに至るわけだけど、このシーンで油断したせいで3分くらい寝落ちした 「君は俺を苦しめる…もう一度苦しみたいんだ!」までの記憶はあって、気づいたら花がひとつふたつとがくから落ちてるカットだったんだけど、この面白シーンを見逃してることがかなり悔しい
男を横取りされたハワイの娘が主人公のところに乗り込んでくるところでスカーフをすっぽり頭からかぶっているのが面白かった 最後、女を追って日本へ発とうとしている男の部屋にサヨナラだけ言いに来た彼女は今までカラフルな衣装を着ていたのに白いシャツを着ておりハッとした
空港でせっかく再会できた主人公二人がロビーから出て少し話し込むシーン、二段階で雨が強くなり画面の奥の方に二人で歩いていくショットがあるんだけど、歩いていく途中で立ち止まり何か話しかけてからまた歩き出していた ここで男がなにを話したのかまったく分からない(音がないから)のが凄い良いなと思った
RyanMihawk

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