逃げるし恥だし役立たず

ジョニー・ハンサムの逃げるし恥だし役立たずのレビュー・感想・評価

ジョニー・ハンサム(1989年製作の映画)
2.5
醜い顔の強盗ジョニー・ハンサム(ミッキー・ローク)が整形手術をして街に戻り、再び強盗計画に加担して行くが、彼の真意は昔の裏切り者たちに対する復讐にあった。不幸な犯罪者の生き様と復讐の果てを描いたクライムドラマ。
ニューオリンズに住む醜い顔の強盗ジョニー・ハンサム(ミッキー・ローク)が親友のマイキー(スコット・ウィルソン)と共に骨董品屋で盗みを働くが、共犯者ラフェ(ランス・ヘンリクセン)とサニー(エレン・バーキン)の裏切りに遭い、ドローンズ警部(モーガン・フリーマン)に逮捕され、更には獄中で口封じのため囚人に刺されて瀕死の重傷を負う。医師レッシャー(フォレスト・ウィテカー)の言葉を聞き入れて人生をやり直すべく整形手術によって社会復帰、ドナ(エリザベス・マクガヴァン)と恋に落ちて新しい人生に向けて歩き出すかに見えたが、ジョニーの目的は復讐であり其の為に共犯者ラフェとサニーに造船所強盗を持ちかけると云う孤独な復讐鬼の末路を描いたストーリー。
豪華なキャストで全体的にテンポも良く、作品の題材も好奇心を唆られるのだが、全然其れが活かされておらず、キャラクターの魅力も乏しく、整形して新しい人間になったのに復讐のみに終わるストーリーは淡々としすぎて広がりがなく『マスク』(1985年)とは違い高揚感を得られないのは非常に残念である。残虐で狡猾だが犯罪者としては些か小物の二人組への復讐も回りくどい上、ターゲットに勤務先を選んだり、共犯者ラフェとサニーの前にやたらと顔を出しては意味深な発言で不審がられたり、自宅に昔の写真を残していたり、ドナを人質にとられたりとツメが甘さが目立ち、其の上ラストは呆気ない。醜い容姿で暗い過去しかない男が整形手術で新しい人生を得られたのだから、復讐か仕事か恋愛かの何れか一つでも成功して良かったと思うのだが、救われない結末に只々陰鬱な印象だけが残り後味が悪い。
終始したり顔のモーガン・フリーマンの見立て通りの結末になったのだが、苦労して整形手術を行って更生を試みた医師のフォレスト・ウィテカー達は果たして何を思うのだろうか…