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アニー・ホールのhoshのレビュー・感想・評価

アニー・ホール(1977年製作の映画)
3.8
偏屈、自意識過剰、捻くれ者のコメディアン、アビーがアニーと別れるまでを描く。ウディ・アレン監督作品。オスカー作品賞受賞。

スピルバーグの暴力世界に疲れたのでサッと見られそうだったこちらを。違う意味で疲れたが笑

とんでもないセリフ量、第四の壁を破る、画面分割やテロップで男女の本音を示す、アニメ。などバリエーション豊かな映像演出とテンポの良い編集は今見ても新鮮。間を詰めて情報過多にしていくのは昨今の映画やバラエティの感覚だよね。古びない技法。自意識の克服、マッチョな男性性の解体みたいな部分も1歩先行ってるなと思う。(昨今の監督の報道を見ると閉口するが)

人の話を聞かず、差別、下含んだジョークやインテリ言葉で武装して自分の身を守るアビー。とてもモテるけど人と本気で向き合えていない。実は寂しいヤツ。そんな彼が、ラストではアニーのためなら飛行機にも乗るし、運転もする。この変化にグッとくる。

正直アビーにもアニーにもムカついてばかりで、このジャンルに求める人物への愛着はなかった。インテリ仕草も鼻についたし。成長モノだから正しいのかもしれないが。ただ、最後のモンタージュと関係性の顛末にはグッときてしまった。なんだかんだ憎めない、可愛い話だなと。あと単純にアビーの仕草って自分もやってるかも!?と思って耳が痛いですね。
しかし、この会話劇や人物像が進化して『恋人たちの予感』や他の作品が生まれると思うと偉大。
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