見ず知らずの少年に命を救われた過去をもつ女子高生・愛（早乙女愛）が、額に傷をもつ不良生徒・誠（西城秀樹）と遭遇する。梶原一騎原作・ながやす巧作画の同名劇画を映画化している、松竹産のバイオレンス・ドラマ。筆者は原作を読了済み。
端的に言うと「西城秀樹主演のアイドル映画」。原作の各パートをパッチワーク的に繋げた内容だが、西城秀樹の取り扱い問題、新人女優・早乙女愛の演技力問題、劇画のエクストリーム感覚を再現することができない問題など、数多くの難点に気づかされる。
本来ならば、愛の聖人君子キャラを中核にしながら、誠に対して慈愛を捧げるヒロイン像を打ち立てるべきなのだが、本作ではその大切な要素が活かされていない。起承転結をつけるために、誠がヤサグレてしまうところも違和感満点（原作ではヤサグレない）。
劇画から実写映画へのコンバートの難しさを痛感させられると同時に、「もしも当時の東映が製作していたら」という妄想が駆り立てられる。なお、ヒロインの早乙女愛は、1984年度の日活ロマンポルノ「女猫」（山城新伍監督）でヌード女優に転身している。
