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非行少女ヨーコのakrutmのレビュー・感想・評価

非行少女ヨーコ(1966年製作の映画)
3.3
田舎から東京に家出してきた少女ヨーコが、田舎者と馬鹿にされ、男たちから性的虐待を受け、オーバードーズに逃避しながらもがき苦しむ姿を描いた、降旗康男の初監督作となる青春ドラマ映画。

青春映画と言ったって、青春らしきものは何もなく、主人公のヨーコが新宿で知り合った若者たちとジャズバーで眠剤をオーバードーズしてラリるだけの映画。今で言うと、トー横にたむろする若者たちというところか。そのラリったときの感覚を前衛的に表現しているところは、いかにも当時の若手監督が好んでやりそう。特に、高倉健とのコンビで数多くの名作を撮った降旗康男監督のイメージとは異なっている。さらに言うと、どうせなら最後までどうしようもないヨーコを貫いて欲しかっただけに、安易なラストは残念。

ヨーコを演じた緑魔子の存在感はやはり半端ない。でも、それ以外の(同年代の)キャラの存在感が薄いので、ちょっと浮いているような感じなのが気になった。一応、ヨーコの相手役はジローという少しまともな青年なんだけど、そのまともさも中途半端だし、谷隼人ではいかんせん存在感が薄い。他に存在感があったのは、岡田英次くらいか。

その後に公私ともに緑魔子のパートナーとなる石橋蓮司がゲイ役を演じているのが面白い。ヨーコが新宿の若者たちと知り合うきっかけとなるソープ嬢ハルミを演じている城野ゆきが、個人的には好み。金持ちのお嬢様だけど頭も中身も空っぽという女性を大原麗子が演じているが、これが似合っている。芳村真理が、岡田英次の妻(か恋人)としてワンシーンだけ出演している。
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