イチロヲ

非行少女ヨーコのイチロヲのレビュー・感想・評価

非行少女ヨーコ(1966年製作の映画)
4.0
都会を彷徨う家出少女ヨーコ(緑魔子)が、様々な人間たちとの交流を介しながら、人生観を見つめ直していく。当時のメディアに発表された実話をベースにしている、青春ヒューマン・ドラマ。

無軌道に世渡りしている少女が、強姦、売春、ドラッグ、友人の死など、センセーショナルな体験を得ていく。ゲイボーイ役の石橋蓮司とドラッグでラリラリになっている大原麗子が、あまりにも様になっていて、洒落にならないレベル。

とりわけ痛快なのは、ジャズバーで騒動を起こしたヨーコが、絵画を切り裂いていくシーン。特別出演の寺山修司が「絵を壊したって何も壊れやしないじゃないか。毎朝早く起きてラジオ体操でもすりゃいいんだよ」と心情吐露する。

「負ける」ということに強い反発心を抱いているヨーコが、「負けを実感する自分」を相手取り、熾烈な闘いを繰り広げる。反抗と破壊の精神を、自身の脳内で処理しきれない。そんな若者の、混沌ぶりを享受することができる。
イチロヲ

イチロヲ