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生きるためにのmhのネタバレレビュー・内容・結末

生きるために(1989年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

アウシュビッツ強制収容所のサバイバーであるユダヤ人ボクサーの実体験に、100%創作の恋愛パートをかけ合わせたホロコーストもの。
ボクサー本人が映画のアドバイザーに加わっているため、考証や細部のリアリティがものすごい。アウシュビッツ強制収容所の遺構で撮影したことも手伝って、絶滅収容所を舞台にした映画のなかでもいちにを争うレベルの再現度。
・WW2当時、ギリシャにおけるユダヤ人たちの状況。
・ゲットーに入らず隠れ住んでいるユダヤ人もいる。
・出迎えるカポのみなさん。
・ドイツ赤十字の車と思いきやチクロンBの缶詰を荷台に載せてるトラック。
・天井からチクロンBを投入するところも。
・余興のために生かされているボクサーやロマバンド。
・ガス室を片付けるため高待遇のゾンダーコマンド。
このあたりさらっと次々とやってくれる。
それだけにリアリティのない恋愛パートがもったいなかった。この映画が埋もれちゃってるのもおそらくこの恋愛パートが原因だと思われる。
ただ、妊娠のプロットはすごいよかった。嘘ついて余録にありつく。あれもおそらく本当にあったことなんだろうけどね。
ゾンダーコマンドのくだり、なにかを見て目を剥くんだけど、それが何かは映像化してない。あれはおそらく全裸の死体が出口や天井へと積み重なっているところだと思われる。
主演のウィレム・デフォーは「プラトーン」の翌年といちばんいい時期。ボクサーとして体つくりすぎててすごかった。
ほか、
・ギリシャ系ユダヤ人を、同じイデオロギーの仲間と思ってそうなソ連のひと。
・隠しためた食料が通貨のようになってる状況。
・ロマバンドの演奏をカットせずまるまる残すスタイル。
細部も本当に楽しめた。
日本ではVHSとLDのみとのことでもはや入手不可。なので図書館で見た。
聞かないタイトルだしたいしたことないと思ってたらめちゃくちゃ面白くてびっくりでした。
見る機会があったらぜひとも!
mh

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