みむさん

生きるためにのみむさんのレビュー・感想・評価

生きるために(1989年製作の映画)
3.5
ほぼ全編アウシュヴィッツの収容所で撮影された初の映画だそうだ。

「アウシュヴィッツのチャンピオン」「アウシュヴィッツの生還者」と同じく、生きるために強制収容所で看守の娯楽のためのボクシングを引き受けるボクサーの話。

ここではギリシャのユダヤ人ボクサーの主人公サラモ・アラウチをウェレム・デフォーが演じている。

多分に漏れず辛い残酷な話なんだけど、処刑の直接的描写はあまり無く、サラモが家族や恋人が理不尽に処刑されるのを避けるべく看守のためにボクシングをやらざるを得ない苦悩を中心に描いていた。

断れば本人も殺されるだろうし、試合で負けても殺されるだろうし、試合をやって勝つこと以外に選択肢はない。
そんな状況で対戦することになった彼の相手……
辛すぎる。

サラモはユダヤ人だったが、収容所に送られた人々はユダヤ人とは限らず、彼も黄色の三角(ユダヤ人)と赤の逆三角(政治犯等)のバッジを付けられていたし、他にもそれぞれ意味がある黒い逆三角や緑の逆三角を付けている者もちらっとと出てくる。

ウェレム・デフォーの迫真の演技はいいけど、ややメロドラマっぽく感じる部分もあり。

余談。サラモがテッサロニキの人だと知ってあの映画祭やってる場所だなと思ったり。