Ricola

男はつらいよ 旅と女と寅次郎のRicolaのレビュー・感想・評価

3.6
寅さんが誰にも好かれ、人の心をがっしりと掴むのは、彼の愛嬌はもちろん、フラットな接し方なのではないかと、この作品を観て改めて感じた。

都はるみが今回のマドンナ。
京はるみという役を演じているが、彼女そのものな役どころである。
有名人ゆえにプライベートの時間がなくて休息を求めていた。そんなところに、自分が何者か聞いてこない(気づいてないだけだが)寅さんに救われるのだった。


ちょっと遠くから覗き見るような構図がよく見られる。
いつものようにせっかく帰ってきたのにとらやで喧嘩してすぐに出て、旅先の定食屋でちょこんと一人座る寅さんを画面の隅におさめる。この構図は、人物の孤独を表しているようだ。

京はるみの孤独は、寅さんの孤独とも少し通ずるところはあるのだろう。たくさんの人に愛され感謝もされるけれど、誰か特定の人に愛されて伴侶ができるわけではないのだ。

寅さんなりの応援の仕方というものがある。満男の運動会では情熱的すぎて目立っちゃうからって引かれてしまったけれど、京はるみへの応援の仕方は間違っていなかった。寅さん、やっぱりあなたは優しくて繊細な人だね。
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