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ミラクル/奇蹟のmatchypotterのレビュー・感想・評価

ミラクル/奇蹟(1989年製作の映画)
3.7
いくぜ、ジャッキー。成龍。
初期〜中期の彼の作品を順当にさらっていく。

この辺から、純粋なカンフーアクション押しではなくなってきたイメージ。

日本で言うと、侍が出てくる時代劇やチャンバラから、ヤクザやマフィアなどの政治や陰謀、裏社会のドラマやサスペンス要素など現代劇っぽくなってくる。

この作品はジャッキーが主演、脚本、演出なども手掛けている。
この作品、往年のハリウッド映画『ポケット一杯の幸福』のリメイクらしい。

彼もこの頃にはハリウッド進出していることで、こういった現代のドラマやサスペンスを香港イズムに変換し、融合させられたのかも知れない。

だとしたら、やはり彼が世界に進出した“海外組”になれたことはアジアにとってすごい革命なのかも知れない。

香港に出稼ぎに出てきたジャッキー。
冒頭からあえなく騙されて無一文。道で途方に暮れていると薔薇売りのおばちゃんとの会話で“幸運”が訪れる。

このおばちゃんとの出会いが全ての始まり。

成り行きで何故だかマフィア同士の抗争に巻き込まれる。
それだけならまだしも、死に際のボスを助けたことで、何故だかその場で初めましての彼がボスに指名される誤解を経てマフィアのボスになってしまう。

逃げ出したいけど逃げれば相手組織に狙われる。
ボスを続ければ組織をまとめ悪党として色んな騒動に巻き込まれる。

いつものジャッキー節とエンタメアクションを織り交ぜながら、その場しのぎの連続で目の前の窮地を脱していく。

巡りに巡って、その薔薇売りのおばちゃん関係で娘が現れてその子の結婚パーティーを開くことになる。
進退極まる状況の中で、薔薇売りのおばちゃんの願いを。

それをキッカケに、自分の組織内の摩擦、そして、相手組織の陰謀、その他関係者の関係のほつれ、様々なあれこれがどんどん繋がって大きくなっていく展開に。

ジャッキー関係ないが、個人的に好きな『霊幻道士Ⅲ』に出てくる俳優たちがちょいちょい出てきて懐かしくて嬉しくなった。

作品全体もドラマ性を作る努力もしつつ、香港コメディとしての“らしさ”も存分に残していて、ならでは感があって良い。

ドリフのコント的な効果音や、ジャッキーや香港らしいしょうもないオチを付ける箸休めみたいな茶番劇みたいなのも健在で、喜劇としても楽しめる。

楽しく、その場を凌ぎながら、マフィアのボスでありながら、やるからにはその力を人のために使おうとするジャッキー。

しかし、やればやるほど騒ぎが大きくなったり、敵対組織が黙ってなかったり、なんでお前がボスなのかと裏切りがあったり。
とにかく見えないところで常に何かが動いている。

まったく落ち着かず絶えず“マフィアのボス業”に忙しく奔走するジャッキー。
この破茶滅茶な展開がどう爆発して収束していくか、、、カンフーアクション以外でもなかなか話として見応えがあるジャッキー作品。

にしても、屋台が並ぶとこでの格闘や、屋根を転げ落ちるシーン、綱の倉庫みたいなとこでの曲芸アクション。

瞬間的に見せる彼のアイデアとスタントなしのアクション、観てて楽しすぎる。
ジャッキーもそうだが、彼以外もスゴい。

89年、日本も昭和から平成へ。
香港の映画も新たな1ページみたいな印象を受けるクライムコメディアクション映画。

そして、相変わらずNGシーンがヤバすぎる。

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TSUTAYA DISCAS運営の映画コミュニティサイト「Discover us」にて同アカウント名でコラムニストをさせて頂くことになりました。
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別視点で色々映画について書いていこうと思います!ご興味ある方は是非お待ちしております!
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