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ミラクル/奇蹟のokawaraのレビュー・感想・評価

ミラクル/奇蹟(1989年製作の映画)
5.0
ジャッキー・チェンの勇猛さは、ホンづくりにこそあり。

キャプラ版では富豪が貧民を奇蹟で救う。拭えない偽善感はアリストテレスの言を参照するなら、「社会的地位の高い人間を再現するのが悲劇であり、社会的地位の低い人間を再現するのが喜劇である」ことの不徹底に所以している。貧乏人を差し置きギャングの金持ちボスを賛歌するような話が喜劇にはなりえぬはずであろう。

ジャッキー・チェンは果敢にもプロローグを用意した。「ギャングのボスは最近まで貧乏青年でした」という、名作相手にしては箸にも棒にもかからぬ蛇足ではあろうが、それでもここで貧乏を語ったことが素晴らしい。
ロイドやキートンで育った彼ならではの翻案で、見事純粋な喜劇に仕立て上げられているように思う。


一生、愛します。
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