ブルースたかぎ

東京原発のブルースたかぎのレビュー・感想・評価

東京原発(2002年製作の映画)
4.5
かなりおもしろかったです
そして原子力発電について知ることができます
20年以上前で且つ震災前の映画なので、劇中で出てくる事実というのが、今とどれほど違うのかは分かりませんが
知るきっかけにはなります
というか知らなくてはいけないと思うとおもいます

そういった意味でかなりメッセージ性が高いと思いますね
Amazonプライムではコメディと分類されてましたが
たしかにコミカルな表現がありますが、あれはむしろ皮肉ってるんだと思います
人々の上にたつ人間の無知さを
対岸の火事を無視し、生きる普通の人たちを

自分のケツに火がつかなければ問題としてとらえない
自分の生活が脅かされるまで動かない
そんな普通の人たち
しかしそうなってしまうのも仕方のない気がする
エネルギー問題もしかり、大地震、戦争、地球温暖化の懸念
さらには、そこに個々の子供や親、お金の心配
生きるために自分から遠いものに目を瞑ることは仕方のないこと
自分ではない誰かがリスクを負うことで自分がその恩恵を受けていること
将来の世代のためにやるべき義務
かなりテーマを突きつけられる映画でした

劇中の舞台がほぼ会議室ということのに
ほぼ会話術というのに
これほど惹きつけられるとは!
ところどころコミカルな表現を散りばめるのも良き効果を生んでいます
また、説明の仕方もうまいです
披露されたものが事実かどうかなどは知識がないので分かりませんが、とても驚くものばかりでした
なるほど、人類がどれほど今しか考えていないのかが理解できます
地球の未来が凄惨なものとなることは数々のSF映画が語ってくれてますからね

そして、会議の行き着く先や、役所広司扮する都知事の思惑に震えました
熱いです
なんだかシンゴジラを思い出しました

日本や国民のことを本気で考える
本作のような政治家(?)はほんとにいるんでしょうか
プライド持ってやってほしいですね

会議と並行して起こるもう一つの事件の展開もかなり面白いです
皮肉も忘れることなく入れてくれてますし

最後に役所広司が

人は過ぎ去ったことはすぐ忘れる
過去には無関心だ

というセリフや、傍観者という言葉が突き刺さる映画です
本作をコメディとジャンル分けしてしまうことがもう傍観者ですよね

役所広司カッコいいやっぱり
段田さんもかなり良い味出してました