はる

東京原発のはるのレビュー・感想・評価

東京原発(2002年製作の映画)
4.0
「東京こそ原子力発電所の建設にふさわしい場所だ」
役所広司演じる天馬都知事が説明するその根拠に釘付けになりました。
東日本大震災より前に制作された作品です。

原子力安全委員会の専門家からは「絶対に安全だ」という意見が出る一方で、その後招集された東大教授からは原子力の危険性がまことしやかに説明されます。

情報が多すぎてついていけない部分もありましたが、心に残る名言もたくさんあり、都知事の発言の真意にはとても強いメッセージを感じました。
「国の政策を傍観しているものは賛成しているのと同じ」
この言葉が特に力強かったです。


悔やまれるのは、「地震が来たら」の下りですね。
この時、日本中が真剣に原発問題に向き合っていたらと思わずにはいられません。

だけど、不安要素だけをまるごと鵜呑みにする人もいるので、危うい作品であるとも言えるんですよね。
そして、役所広司をはじめ、有名どころが出演しているのにあまり知られていないのは大人の事情があるから?

私たちはどこからの情報を信じればいいんでしょうか?
その議論から始めなければ。

エンデイング曲はメロディが「イマジン」に似ていて追い打ちをかけられた気分になります。
色々な面で考えさせられる作品でした。
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