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東京原発のtheocatsのレビュー・感想・評価

東京原発(2002年製作の映画)
4.0
原発政策の杜撰さをこれでもかと皮肉る快作

3.11東日本大震災前に視聴済み。今回3.11から十年後に再視聴でやはり感慨深いものがある。

東京原発誘致という一見原発に賛成しているかのようなポーズの裏で、国の原発政策をこれでもかと皮肉る場面は溜飲が下がる思い。
そもそもの国家的原発政策の巨大な嘘と欺瞞。国家機密をべらべら漏えいするアホな担当官。プルトニウムをアル中運転手に運ばせる杜撰さなどなど・・・

その一方、今回の視聴でプルトニウムジャックが東京原発パートの展開を阻害してしまったような印象を受けたが(と言うか再認識だね)、ラストの「チェレンコフの光」という究極的黒ジョークを演出するためには不可欠でもあったのだろう。
とはいえ東京原発のみでも十分シナリオとして成立させられただろうから、「電気をバカみたいに無駄遣いし原発の積極的な、あるいは傍観的な賛成者でもある東京都民達」の賢いまたは愚かな反応場面を見て見たかった気もする。

低予算なのは感じ取れるが、構成・展開・演出は地味ながらそつがなく、俳優陣の演技も手堅さとユーモアの加減が絶妙でしたね。

4.1の四つ星

今現在東日本で稼働している原発はないようだが、仮に稼働することになったとしても反対派の少数地元民と都市部の反原発グループがほぼ無力なデモをする程度で、ほとんどの首都圏住民はやはり無関心なままだろう。
そんな連中の目を覚ますのは3.11後の様な実際の放射線の脅威か、本作の「東京原発」しかないのかもしれないが、現実的には検討されることさえまずありえないのが残念。

個人的には東京原発賛成。敷地は福島汚染土で埋め立てた東京湾という感じで考えているが、3.11原発メルトダウンを経験してさえ性懲りもなく原発安全神話に寄りかかる原発推進者と傍観的賛成者はどう思われるだろうか?

032103
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