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箱根風雲録のkossのレビュー・感想・評価

箱根風雲録(1952年製作の映画)
3.3
芦ノ湖の水を駿河に引く難工事を農民と行った友野与右衛門。江戸時代のプロジェクトリーダーなら河村瑞賢が思い浮かぶが、河村が幕閣の要請を受けて行っていたのに対して、同じ商人である友野は商人たちの出資、最後には私財を投じて行う。幕府の妨害に屈せず、農民たちを団結させる。描かれるのは農民の貧困と苦闘であり、幕府対人民の抵抗や一揆ではない。ラストの水路に流れる水に歓喜する農民たちは美しいが、悪辣な幕府と無抵抗なリーダーと農民救済という教条的なイデオロギーと、動機が不在で結末が先行する単線脚本で、ダイナミズムのない平板な物語を押しつけられて閉口する。
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