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いまを生きるのmanamiのレビュー・感想・評価

いまを生きる(1989年製作の映画)
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再々鑑賞。原題は作中に登場する「死せる詩人の会」で、確かにこれをタイトルにすると誤解を招くだろうね。でもこの邦題が最適解かというと悩ましいところだわ。
それはさておき私が今作を初めて観たのはまだ10代だった頃だけど、衝撃と感動の波に飲み込まれた記憶が今でもはっきりと残っている。
創立100年を誇る全寮制の進学校ウェリントン学院が舞台で、新学年を迎える式典の場面から映画は始まる。そこで生徒たちが掲げるフラッグにも記され、ノーラン校長も挨拶で触れる「伝統、名誉、規律、美徳」を、教育方針の四つの柱としていることなどから、格式を重んじる「お堅い」校風であることがよく分かる。
そんな名門校にやって来たのが、新任教師キーティング(ロビンウィリアムズ)と、転入生トッドアンダーソン(イーサンホーク)。
トッドたちへのキーティング先生の授業がそうとう型破りで、まさに「美しさ、ロマンス、愛」に溢れている!そして自由!なにしろ英語の授業なのに中庭を歩き回らせたり、教壇の上に立たせたりしちゃうのだから。
自身もこの学校のOBであるキーティングは、Carpe diem! Seize the day! 今を楽しめ、今を生きろと語りかける。同調圧力にも、大人からの「お前のため」という圧力にも負けることなく、自分の頭で考えろと伝えたいのだろう。35年前の作品とは思えないほど、現代にも通じるテーマだ。
自己肯定感も低く自己主張も弱かった彼に独立心が育っていくさまや、言いなりの優等生だった彼が夢中になれるものを見つけて生き生きとしていくさまには、込み上げてくるものを抑えきれない。
極めつけはもちろん"O Captain! My Captain!”自由詩の父とも呼ばれるウォルトホイットマンのこの詩、このフレーズの回収はもう、ほんとに!もう!も〜う!!

70(1779)
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