なべ

ガメラ2 レギオン襲来のなべのレビュー・感想・評価

ガメラ2 レギオン襲来(1996年製作の映画)
4.0
 ドルビーシネマ公開初日に観たんだけど、日が空いてレビューのモチベーションがすっかり下がってしまった。気持ちを上げるために米盤Blu-rayを再生したら、なんと!馬鹿でかい英語字幕が焼き付けてあるじゃないか。うわあ、特撮のソフトでそんなデリカシーのない仕様があるか? くやしー!もうゴミ箱に捨てたい。そんな悔しさを胸にレビュー。

 前作より脚本がかなりこなれてる。謎の隕石、オーロラ、ビール工場、地下鉄と怪獣が出てくるまでのお膳立てのなんとまあ素晴らしいこと。これ見よがしな人間ドラマはなく、ひたすら怪現象を追うシナリオに震える。陸自ニ佐・渡良瀬を演じる永島敏行の軍人らしさがまたいい。直感を信じ、柔軟な対応力とキリリとした精悍さが人として信頼できる。
 青少年科学館の学芸員・穂波もヒロインとしてほどよい。つくり手は萌えを担当させたかったようだが、衒いのない演技で色気を感じさせない(スタッフの邪念は上滑りしている)。あどけなさの残る水野美紀が新鮮だ。

 今回はマンモスフラワーのオマージュに泣いた往年の特撮ファンも多かろう。群体と草体って設定がイカしてるよな。群体のウジャウジャ感の悍ましいこと。レギオンには独特の怖さと気持ち悪さがあり、ギャオスとはまた印象が違う。怪奇なトーンがなんとなく大映っぽい。
 ガメラの顔も1より精悍になった。ガメラが草体の爆発に曝されるシーンの悲壮感はこの顔つきだからこそ。前作の丸っこい輪郭だとこの感じにはならなかった。てか仙台消滅はなかなかエグいわ。爆発の瞬間の遠景と新聞記事だけだけど、結構ショックだった。怪獣映画の災害規模としては過去最大じゃない?
 本作の燃えポイントの一番は自衛隊とガメラの共闘。「火力をレギオンの頭部に集中し、ガメラを援護する」って師団長が命令するところなんて、思わずガッツポーズ取りたくなるもん。
 NTT職員役の吹越満の機転が功を奏してウジャウジャ羽レギオンはうまいこと殲滅。からの、そんな技があるなら最初に使えよ!と誰もがツッコむ腹からの超特大火球で巨大レギオンを粉砕するラストの気持ち良さ。
 自衛隊員が誰ともなくガメラに敬礼するところなんて、くっさーーって思うんだけど、ちょっと泣いちゃうもんねw
 今回はドルビーシネマで、ロードショー時より絵も音もリファインされたレギオン襲来を見ることができた。館内は特撮ファンのおっさんやジジイでいっぱい。愛されてるな平成ガメラは。ガメラ3邪神覚醒の公開がいつになるのか知らないけど、最後まで見届けるよ。
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