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ハムレット・ゴーズ・ビジネスのadeamのレビュー・感想・評価

3.0
デビュー作でドストエフスキーの名作に挑んだカウリスマキが今度はシェイクスピアのハムレットをモチーフに描いたコメディ。
中世のデンマークから現代のフィンランドに舞台を移し、主人公のハムレットが王位の代わりに経営者の座をめぐる泥沼の争いに身を投じていく物語です。
四大悲劇の一つと称される原作のストーリーを割と素直になぞりながらも、カウリスマキらしいとぼけたユーモアのある演出が施されることで、見事に喜劇として成立していました。
突然のひげ剃りや神妙な雰囲気の役員会議で回し見されるアヒルとお絵かきするハムレット、川ではなくバスタブに浸るオフィーリアなど、らしいギャグはたくさんありましたが、特に良かったのは死体を捨てに行くシーンで、映画でありがちなシチュエーションながら、山中に埋めるでも海に沈めるでもなく、最寄りのゴミ捨て場に隠しもせずにポンと置いてくるのは笑えました。
物語に関係のない犬にライブシーンというカウリスマキ印がしっかり登場しているのも良かったです。
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