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手紙のbluetokyoのレビュー・感想・評価

手紙(2006年製作の映画)
2.9
2024年4月28日 21:00~ J:COM 
錚々たる俳優陣だし、丁寧に作られていて、期待したのだけど、かなり残念な作品だ。原作が有名なので、どうしてもこうなってしまうのかな。しかたがないというところか。せめて、映画化するときに改編すべきだったと思う。設定があまりにマンガチックで幼稚なのだ。あと、タイトルが手紙なのだが、結局のところ、手紙はあんまり関係ない。あえて言えば、殺人という罪の重さ、である。

あまりに幼稚な設定、まず挙げられるとすれば、いきなり、主人公、武島直貴が漫才師、ということ。唐突、というのもあるけど、いったい、なんで漫才師なんだよ。あまりに目指すべき道としては、レアすぎる。強引な受け狙いとしか思えない。
兄貴、武島剛志は、弟、直貴が優秀なので、大学に入ってもらいたくて、仕事がオーバーワークになってしまい、腰を痛め、働けなくなった。そこで、空き巣をしようと思い立って、ある家に侵入、家人に騒がれて、その家人を殺害、という導入部なわけだ。だが、その導入部と漫才師が、まったく結び付かない。

次の幼稚な設定、カネ持ちの娘、朝美と直貴が、結婚するかしないか。結婚するとすれば、家庭を持つわけで、漫才師である直貴が、よほど成功していて、安定した収入があるなら別だが、そうでなければ、あり得ない。
さらに、兄貴が殺人罪で服役している、というのが、次に出てくる(直貴は黙っていた!)が、最初にあり得ぬ設定を出しているので、その肝心なことが霞んで、どっかにすっ飛んでしまうのだ。
なぜ、普通の家庭の娘との結婚、としなかったのだろうか。

ということで、直貴は、身バレしてしまい、結婚も漫才師も諦めざるを得ず、秋葉原の電器店に勤める。話は前後するが、白石由美子(沢尻エリカの名演、懐かしい)という女性が前の職場から、追っかけてきていて(いったい、どうやって、直貴の身元がわかったのだろうか)、直貴と結婚することになる。
由美子は、直貴みたいな人(不運を背負うタイプ)に惹かれるようだが、そこらへんの説明はうまくいっている。

娘も生まれたりするが、ここでも、身バレの魔の手が伸びてくる。
そこで、ついに、兄貴とのすべての縁を切り(名前、本籍を変えるというのが一般的かな)、手紙のやり取りも止める。

で、最後は、刑務所慰問の漫才を直貴がやるわけだが、その漫才を涙ながらに見る兄貴、ということである。
ここで、漫才師というのが出てくるんだろうけどね。
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