とり

狩人と犬、最後の旅のとりのレビュー・感想・評価

狩人と犬、最後の旅(2004年製作の映画)
4.0
ほとんど内容を知らなくて、タイトルから想像すると何となく、犬とともに旅を続ける狩人が自然と戦う映画なのかな~と思ってました。
当たらずとも遠からずっていうか、全然違ったっていうか、狩人の極寒の地における過酷ながらも強くたくましく生きるドキュメンタリータッチドラマって感じ?
冒頭でクレジットにhimselfと出たので、きっと本人による再現フィルム的な作品なんじゃないかな。
全体的には明らかに「映画」でした。
突然飛び出してくる巨大熊にしても闇に忍び寄る狼にしても、よく訓練された役者だったし。
まぁ木材を運ぶビーバーとか雪原を歩く草食獣や鳥類などは、自然そのままの姿を撮影したんでしょうけど。
あー、でもおじさん達が座って語り合ってる真横を野鳥(カケス)が飛んできて餌を拾って飛んで行ったのはヤラセっぽいな(笑)それはそれでお利口さんやなぁと感心するけど。
と、そういう重箱の隅をつついたり真偽について考える映画ではなかった。
とにかく自然の厳しさとそこで強くたくましく生きる人間を描いてることにただただ圧倒され、驚嘆するばかり。
NHKで放送されるような大自然の紀行ものっぽいけど、大画面の迫力は段違い。
どのシーンも素晴らしい景色で満たされていて、厳しすぎる世界であると理解するにつれて更に増す神秘的で荘厳な美しさに息をのむばかり。
私のようなど素人&安物のカメラでもかなりいい写真が撮れそう~とか思ったけど、多分あんな厳しい寒さに放り込まれたら30分ももたない。
寒さ対策についての描写が興味深かった。ちょっとした小物から衣装、建物にいたるまで、あくまでもさりげないっていうか、実際の本人の持ち物を使ってるとしたら当然なのかもしれないけど。
狩りで得た毛皮をフルに使ってるのがよくわかった。その貴重な恩恵を受けている狩人本人の意志みたいなものがしつこいほど描かれていた。おそらく監督か主演のおじさんが映画化するにあたって強く望んだメッセージなんでしょうね。
あれだけ凄い生活をしてる人が言うからこそ生きてくるメッセージだなと思った。
そして印象に残った言葉「白人が先住民に毛皮を売る時代になった」
白人である主演の狩人おじさんがゲットした獲物を、インディアン系店員がいるお店で売る時の会話。
面白いなぁウィットに富んでるなぁと思いつつも、どこか寂しい。狩人のなり手が減り、自然が破壊されている現実が見える。
それにしても犬が超可愛かった!
シベリアンハスキーがぞろぞろとソリを引く時のヘンな表情も可愛かったし、餌を目の前にして辛抱たまらん動きとかも微笑ましかった。
とにかく人間も含む動物たちがあれだけの極寒の地で生きていけるってほんと凄い。
MOVIX柏の葉
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