だい

キッスで殺せ!のだいのネタバレレビュー・内容・結末

キッスで殺せ!(1955年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

キッスで殺せ!

邦題の意味はよくわからないが、
とにかくすごい自信だ。



何かもうね、
アルドリッチ天才では?
と思うくらい出だしからいろいろ神。


下から読んでくオープニングロールに始まり、
ノワールらしいえぐい陰影と、
ナット・キング・コールの夜み深いソウルの中、
猛スピードで展開していくストーリー。


えっっっぐい!!


何もわからない地下迷宮に放り出されたみたいな心境。
何が何やらわからないまま次々といろんなことが起こる。


関係する人たちのどんどん増していく苛立ち。
あの人は味方?
あの人は敵?

そんなスケールも付けられないまま、
深入りしている感覚だけが植え付けられる空気感。


えっっっぐい!!



主人公マイク・ハマー演じるラルフ・ミーカーが、
あまりにも華がなさすぎて主人公感ゼロなんだけど、
そんなことも気にならないくらいの緊張感!!

私立探偵の許可取り消されたのに、
何で死体の調査できるの?
とか。

スポーツクラブの受付、
いきなり殴っちゃったら普通通報されるやろ!
とか。

そんなのも気にならない人は気にならないくらいの緊張感!

でもコレクターズアイテムのレコード割って、
あれわりと殺されても文句言えんぞ?



ストーリーがヒリヒリするやつだから、
あのババブーン親父くっそウザいな。
って、
思ってたんですよぉ。

あいつのせいでコメディっぽくなってるな。
何でこんなん出したんだろな。
って、
思ってたんですよぉ。


死んだ~~~~~!!!!!!!!


こんな異質なキャラ殺しちゃうのか!予想外!
そして馬場文の明るい要素が無くなったことで、
逆にそれ以降シリアス感が加速して感じられるという。

そのやり方こそババブゥゥゥゥン!!!!


そのテンポ調整の仕方、
豪腕すぎて濡れそう。



序盤、
中盤、
わりと普通に良質のハードボイルド。

街の悪い奴らと戦っちゃうぜ。
狙われてもさ。
暴いちゃうぜお前の悪。

みたいな。

そんな普通にハードボイルド。
まさかさ。


こんなにデカい話になるとは!!!!!!!


リリーが少し頭の弱いキャラ付けなの、
こういう使い方で回収するのが絶妙すぎだし、
核の音が何かウルトラQっぽいし、
あんだけ近くにいて無事な理由はよくわからないけど、
でも。


こんな重すぎテーマぶち込んでくるのやべぇぇぇ!
馬場文からの小型核。
落差がえっっっぐい!!


この時代にこれやるんだ。
太陽を盗んだ男の24年前やぞ。

この映画がいまいち日の目を見ないのは、
たぶんこのテーマがデリケートすぎるせいな気がしてる。
ぼくがしてるだけです。


いざ動き出したら、
人間の力ではどうしようもないって、
そんな虚無感。

あれだけたくさんの人が死んでも、
そんなのは些細になってしまう虚無感。


名作だなぁ。
だい

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