ShinMakita

キッスで殺せ!のShinMakitaのレビュー・感想・評価

キッスで殺せ!(1955年製作の映画)
2.8
☆探偵マーロウ公開記念:ハードボイルド系私立探偵映画6選





私立探偵マイク・ハマーは、ある夜、コート一枚を羽織り裸足で彷徨う女を保護した。彼女の名はクリスティーナ。精神病院から脱走して来たのだと言う。ある秘密を知ってしまったことから病院に強制的に入れられてしまったらしいのだが、その秘密をハマーに語る前に謎の集団が二人を拉致。拷問の末クリスティーナは死亡する。昏倒させられ殺されかかったが、ハマーは一命をとりとめた。

運び込まれた病院を出て復活したハマーは、クリスティーナの死の真相を探ろうと調査を開始する。自宅に引きこもっている科学誌記者ダイカーからの情報で、彼女の住所が判明、そして彼女のルームメイト、リリーと出会う。リリーも謎の集団に狙われており、ハマーに助けを求めるのだった。彼女とダイカーの情報で、クリスティーナ同様に「秘密」を知ってしまった者たちが次々と謎の死を遂げていることを突き止めたハマー。その背後にギャングのボス・エベロが存在することを知った直後、ハマーの親友ニックが殺されてしまう・・・




『キッスで殺せ!』



一見、「タフな探偵が主人公のハードボイルド活劇」であります。しかし、ムーディな雰囲気は皆無。ハードボイルド・イズムを無視し、「衝撃の結末」(かなりシュール!)のみに重きを置いたサスペンスなんです。この作品のハマーって、ぜーんぶダイカーからの電話のネタだけで動き回っているのだから知性ゼロの猿状態。つまりオチにたどり着くまでの私立探偵モノ特有のカタルシスが欠落しているのです。

しかしそれこそが、監督の目的だったのでは?と思わざるを得ません。あまりに「バカ」な映画って、その演出は意図的としか思えませんよね。オチの「バカさ加減」でハードボイルドの世界をぶちこわし、私立探偵モノを皮肉ってやろうとしたアルドリッチ監督の遊びに徹した作品と私は捉えました。ま、原作でもスピレーンのマイク・ハマーは実際にはハードボイルドとはちょっと違うから、正しい作劇とも言えるんだけど…
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