Miz

江分利満氏の優雅な生活のMizのネタバレレビュー・内容・結末

江分利満氏の優雅な生活(1963年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます



またとんでもない作品を見てしまったなというか気分。


戦後の鬱屈とした生活を送るサラリーマンがひょんなことから小説を書くことになる。
そのうちに家族のこと、戦中戦後のことを思う。

今回初めて、
岡本喜八もまた怒りの作家ではないかと思うようになった。


小林桂樹と新珠三千代の夫婦は一昨日くらいに見た小津安二郎でも夫婦であった。

この二人の夫婦感が良いのはなんかわかる。
昭和だから成り立つ二人の関係。
新珠三千代は彼女は彼女で自分の時間を生きてるからこの夫と一緒にいられるのだろうなぁ。

小林桂樹が直木賞を取って息子と妻が喜ぶところ、息子がふすまを殴りまくって穴をあけるシーンが謎に泣ける。

そこから小林桂樹の運動会談義、大人になって思う運動会の良さ、すごくわかる。

カルピスは恥ずかしい。
この哲学から
新珠三千代が戦争に行った兵隊の秋田県に住む妻の手紙の朗読。
演劇のようなスポットの当て方。戦争に奪われた夫を持つすべてのやもめを演じるシーンだと思う。


裕福に暮らしてた青春時代に戦争は憎い、と思っていたが、自分が裕福だったのは戦争のお陰だったからという
皮肉皮肉皮肉。
とにかく皮肉の映画。

面白い。

最後のエンディングもカッコいい。
Miz

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