ちろる

江分利満氏の優雅な生活のちろるのレビュー・感想・評価

江分利満氏の優雅な生活(1963年製作の映画)
3.9
まだ戦後の名残があり、インフラ整備もままならない砂利の多い道が不便を強いられるが、夜はキャバレーやパブなどで活気が溢れて、皆思い思いの遊び方ができていた高度成長期真っ只。
主人公は冴えない中年サラリーマン。
上司にそんなに期待されず、部下には人望はなく、飲みの誘いを断られる。
「つまんない」「退屈すぎる」と飲み屋で管を巻く日々を毎日繰り返してるわけだが、、、
その飽きもせず毎日管を巻いている姿を見ていたとある出版社の編集者が江分に声をかけた事によって、彼の退屈な日常は180℃変わってしまう。

原作は1962年8月、『婦人画報』に連載された、山口瞳さんの作品ということでごくごく普通のサラリーマンの日常が婦人雑誌にウケたのはこの作品の内容自体とリンクしていて面白いですね。

江分を演じたのは小林桂樹さんな平凡なサラリーマンの日常が、軽快なテンポで語られる語り口のおかげで所々でクスッと笑わせてもらえる。

突然アニメーションが挿入されたり、ストップモーションを使ったり、当時では珍しい色々な撮影技法が使われているのも見所。

コメディだけかと思いきや、後半は江分が戦中派の心中を語るシーンも出てきてちょっと色合いが変わったりもする。

そういうところも含めて色々な全部乗せ感のある昭和のエンタメ作品。

寝る前にこれどんなのだろー?とふとオープニング見始めたら面白くていつのまにかラストまで観てしまった作品でした。
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