あんゆり

江分利満氏の優雅な生活のあんゆりのネタバレレビュー・内容・結末

江分利満氏の優雅な生活(1963年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

おおおお、ええええ?!笑
が観てすぐの感想。

この映画は、残された者の戦争映画だった。
戦争によって何もかも失う話は沢山聞いてきたけど、戦争によって何もかも手に入れてから、戦争によって何もかも失う話は初めてだった。

今でこそ「戦犯」という言葉で括られてしまう人々はかつてはわんさかいて、でもそれが生きていくための生活で…。
戦争で利益を得ていた過去があるからこそ、江分利満氏の中に渦巻く戦争への怒りが最後の大演説?で止めどなく流れ出る。

ただ、皮肉にも、私は酔っ払って明け方まで繰り広げられる大演説を聞いている部下たちのようにどこかで「早く終わらんかなこの話」と思ってしまったのも事実。
体験した人にしかわからない、その世代にしかわからないことを一生懸命熱弁しても、戦争を経験していない世代からしたらかつての武勇伝くらいにしか聞こえないのが苦しい。
あの時、戦地に送られた手紙を聞いている部下たちはどんな気持ちだったんだろう…

前半のコメディテイストなシーンは軽快で、面白い!シュール。

時折挟まれるアニメーションがトリスハイボールのキャラに似てるなと思ったら、同じ作家さんだった。

外から見えないパンツや下着で周りとの貧富の差を表現してるシーンは特に好きだった。

冒頭、「面白くない」と連発する江分利満氏。
死んだらどうする?と子供や奥さんに聞いてみたり、家族ができて自殺を考えることができなくなったと思ってみたり。
第二次世界大戦が終わってから急速に変わっていった日本にどことなくついていけてない男の滑稽な物語だった。

いろんな演出の試みがあって、この時代の映画って面白いなと思った。
あんゆり

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