あさ

江分利満氏の優雅な生活のあさのレビュー・感想・評価

江分利満氏の優雅な生活(1963年製作の映画)
3.8
『結婚のすべて』以来の岡本喜八。『結婚』あまりにも良かったのは脚本と思っていたし、実際白坂さんの他の物語も超良かった(『青春娘』以外)けど、今日これを見て、あの冒頭からラストまでの目を見張る楽しさ、視覚的な驚きは岡本喜八によるものか…と思うなど。冒頭、途中挟まるアニメーション、お足元だけ、エブリ以外の時が止まっている場面はしっかり俳優さんたちが動きを止めていてすごい。総じてとても楽しい。

戦後成長期といえど、色々引かれて手取り4万の生活に何となく想いを馳せちゃうし、ヨソが「贅沢」といいそうな奥さんや子ども習い事に1万、メキメキ便利になる家電へのローンも惜しまない。別に特段、贅沢している人ではないし寧ろ生活苦。そんな生活が一番庶民的で刺さる。
戦争の負の遺産。生きた時代によって育まれてしまったエブリの父ちゃん。流石に腹が立つけど、毒親を悪とも言わずに諦めているのがまた切ないな。どうしようもないもの。

最後の最後とか酔っ払いの話に付き合う眠さったら…と言い訳にしながら半寝で見たけど、独特な語り口でしょうみたま〜に眠くなる。が、賞取るまでのくだりが面白かったので高評価。コメディと風刺の塩梅がしれっと取れているし、昭和の昭和たる部分(自分がなんとなく忌み嫌っていたもの、まあ要するに家父長制の煮凝り)を俯瞰して見ることができるものとして映画があったじゃないかと思うここ最近。
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