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マヌケ先生のtnkのレビュー・感想・評価

マヌケ先生(1998年製作の映画)
4.9
尾道映画祭2018にて。


うーん、こんな作品がまだ数十人にしか観られてないのがほんとにもったいない。
90分鳥肌が止まりませんでした。
グッと堪えないとこの作品に押しつぶされる瞬間が何度もあって、全身で受け止めざるを得なかった。

生まれる環境は選べないし、その中で出来る最大限のことで生きていく。
この作品ではたまたまそれが映画で、映画を愛し、その愛を体現することでいつしかその環境に対する愛がたくさん生まれて、その愛をぶつける相手がたくさんいる。
こんな幸せなことはないのではないでしょうか。
大林監督はあの年齢でまだ尾道への愛を高らかに話してて、そんな人が自叙伝的映画を作ったんだから、この作品は誰も割って入ることができないものすごい領域にあるんだと思う。


大人になればうまく伝えられることがあるけど、それ自体に気づくのは大人になってからだから、もう会えない人にはどうやって伝えたらいいんだろうか。
何が本当か、何が正解か永遠にわからないことがたくさんあるだろうけどこれから出会う人にはしっかり伝えられるように生きていくしかない。
そうやって決意してタンク岩の上から叫ぶ姿がどれほどかっこいいものか。


部屋が明るいときは何も映らないけど、一度暗くすればそこはもう夢の世界。
映画をこんな風に語れるなんてどれほど素敵で素晴らしいことなのでしょうか。
映画の可能性はどこまでも無限だということを見事に証明してくれた。
ほんとにかけがえのない経験だと思う。

大変貴重な時間でした。
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