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『TAKESHIS’』に投稿された感想・評価

netfilms

netfilmsの感想・評価

4.2
 轟音轟くヘリコプターのプロペラ、壊滅した室内。敵兵が5人、日本人のアジトに侵入し、生存者がいないか確認して回る。床に倒れた死体の中、死んだふりをしたビートたけしがゆっくりと顔を上げると、敵兵と目が合う。場面が変わり、組長同士が銃を向け合うヤクザ映画のクライマックス、アジアン・ノワールのような過激な銃撃戦の後、主人公のビートたけしだけが立っていた。カメラが後退すると、それはブラウン管テレビの中の出来事で、賭け麻雀場が映る。卓に座る4人の男たちは北野のパプリック・イメージについて話しているのだが、そこにはビートたけし本人が何食わぬ顔で座っている。タクシーの中で待つ運転手と愛人でマネージャーの京野ことみ、大杉漣は付き添いで卓の横に座る。勝負事は今日も負け、組員の國本鍾建に若頭で俳優志望の石橋保を紹介される。遠巻きで見ていた岸本加世子はたけしの水持って来いの誘いにも冷ややかな表情を浮かべ、帰り際のたけしの背中に水をぶっかける。ビートたけしは芸能界の大スターとして、今日もTV局の仕事が入る売れっ子スターだった。スタジオの別室では、ビートたけしに瓜二つの北野がいた。50代半ばの彼は俳優としてまったく売れず、コンビニでアルバイトをしながらオーディションを受ける日々を送っていた。

 ビートたけしと北野武、瓜二つでありながら収入・地位・名誉に格差のある2人の対比の構図、かつて大部屋俳優として同じ釜の飯を食った寺島進は芸能界のトップにまで登り詰めたビートたけしを妬みながらも、北野武のために下手に出てサインを書いてくれないかと強請る。スターと大部屋俳優の光と陰、ビートたけしと北野武の間を行き交う登場人物たち、伺い知ることの出来ない互いの私生活はやがて「夢うつつ」に侵食され、二律背反の関係は混濁した世界になだれ込む。撮影情報はほとんど開示されず、ヴェネツィア国際映画祭で監督名も作品名も事前に伏せて初上映された今作は、武流シュールレアリズムに溢れる。京野ことみと岸本加世子の乱痴気騒ぎ、大杉漣、寺島進、津田寛治、芦川誠、渡辺哲、國本鍾建ら北野組総出演のピカレスク的不条理劇、スパゲティナポリタンと顔から流れた血、書き割りの海とキタノ・ブルーを想起させる海岸線の青、美輪明宏のヨイトマケの唄と花束に隠れていた青虫のダンス。この先は行ってはならないという大杉漣の忠告を遮り、2人のデブを乗せて世界の終わりに向かうピンク色のタクシー、33回転で回る坂本スミ子の『夢で逢いましょう』の懐かしいメロディ。クライマックスでたけしは武を殺し、今作がようやく『TAKESHI'S』ではなく、『TAKESHIS'』だった意味を悟る。
この映画は非常にレビューがしにくい。難解さのあまり、理解できない箇所が多々あるからだ。おそらく多くの人がこの映画に対して意味不明だという感想を持つことと思う。だが、この作品が映画監督・北野武の大きな分岐点になっていることは間違いない。彼の代表作を観た後にチャレンジするのも悪くないのではないか。
茶一郎

3.7
 「『たけし』が『たけし』に出会う」のキャッチコピー通り、「ビートたけし」また個人を超えて映画監督として世界的評価を得た「北野武」が文字通り二つに分裂する。その混乱と混沌がフィルムに焼き付いています。 

 売れない役者を続けながら何とかコンビニの店員で生計を立てる「北野」は、偶然楽屋で芸能界のBIG3、芸能界のトップに君臨する「ビートたけし」に出会ったことをきっかけに、夢を通じて「北野」は「ビートたけし」に変化していくという物語。
 今作『TAKESHIS’』から続く3作『監督・ばんざい!』そして『アキレスと亀』は、北野監督が映画監督としての葛藤をそのまま映画にしたという「芸術家三部作」、もしくはその名の通り「葛藤三部作」と呼ばれ、要するに「何の映画を撮ったらいいんだ!ダンカン馬鹿野郎」という監督の率直な気持ちを反復する三作になっているという理解です。
 そして特にこの『TAKESHIS’』は、同じく映画製作の葛藤をそのまま映画にした原点的作品であるフェデリコ・フェリーニ監督『8 1/2』をベースにしつつ、監督本人の自我の分裂は同系譜のイングマール・ベルイマン監督『仮面/ペルソナ』そのままを北野監督版に翻案したと言っても良いような一本。「芸術家三部作」の他二作と比べて、監督の私生活や生い立ち、加えて、芸人としてのデビューの場である「浅草フランス座演芸場-東洋館」的演芸場が印象的な劇中の舞台になっていることから芸能生活における「ビートたけし」の芸術家としての葛藤を描いたというのが専らの通説になります。

 今作『TAKESHIS’』は監督の葛藤がそのまま編集に反映されたようなカットバック・カットフォワードの連発、またシュールすぎる画作りがデヴィット・リンチの諸作品に通ずる雰囲気を感じさせるというのが個人的初見時の感想でした。
 芸能界の王としての「ビートたけし」を自身で描くというだけで非常に自分への冷めた客観視点を印象付けられますが、初期作『ソナチネ』的ギャング映画を劇中映画として登場させたり、クランクアップの花束贈呈などの芸能的行事をうんざりに思っている描写を入れたりと、監督の徹底的なまでの冷めた自己分析が非常に興味深い。何より、芸能人「ビートたけし」を「ピエロ」と重ねて描いた各ショットは、華やかな芸能の世界を表層的に見ている観客には決して理解できないような歪んだ精神性が現れているように思います。
  最後にはサービス的な大団円と、「これ『8 1/2』じゃん!」と思わせておきながら、次作『監督・ばんざい!』が直接的な『8 1/2』のリメイク的作品となる訳です。

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