イチロヲ

黒の超特急のイチロヲのレビュー・感想・評価

黒の超特急(1964年製作の映画)
3.5
岡山の片田舎で不動産会社を経営する青年(田宮二郎)が、開発予定地の先買いを企んでいるゆすり屋(加東大介)と対峙する。新幹線路線の敷設を背景にしている、サスペンス・ドラマ。

題名を略すと「クロ超」になるため、シベ調的な期待感が高まるが、残念ながら列車サスペンスではない。新幹線の実用化という国家的プロジェクトの影響下に潜んでいる、ドロドロした人間模様を語っていくスタイル。

不自然な一人称語り、都合よく止まってくれるタクシー、エキストラが無反応になるカキワリ現象に笑いを誘われてしまうが、「金の亡者しか登場しないドラマ」の風刺性を堪能することが可能。

極秘ルートで入手した個人情報を利用しながら、口八丁手八丁で揺さぶりをかけてくる加東大介が、清々しいほどの気持ち悪さを発揮している。そして、「自分の周囲にも、こういう人がいるかも知れない」という猜疑心が刺激させられる。
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