千年女優

フリージアの千年女優のレビュー・感想・評価

フリージア(2006年製作の映画)
3.0
戦時下で悪化した治安を守るためルール下での復讐が容認される「敵討ち法」が制定された日本で、謎めいた女性ヒグチに敵討ち執行代理人に登用された元少年兵の叶ヒロシ。無感情のままに次々と敵討ちを成功させる彼が、やがて感情を失った元凶である軍事実験「フェンリル計画」にまつわる因縁に辿り着く様を描いたアクション映画です。

少年犯罪や心神喪失・耗弱による責任無能力によって加害者の人権が過剰に保護されているとの非難が高まりつつあった2001年に連載開始した松本次郎のディストピア・アクション漫画を学生時代から映画監督として活動する熊切和嘉が実写化した2007年公開作品で、主演の玉山鉄二のアクションをPG-12での過激なバイオレンスで盛り立てます。

架空の法案を用いたディストピアものでも戦時下の設定が示す様に明治に禁止された「仇討ち」を今更蒸し返す意志はなく、あくまで娯楽アクションとして勝負します。ドラマもガンアクションも原作の漫画だからこそのヒリヒリした無機質な暴力には遠く及びませんが、セピア調で作る雰囲気やバイオレンス表現に努力の跡を感じる一作です。
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